もはや文化であり、独自のジャンルにまで発展したラーメン二郎。
おれも大好きで、一時期は熱狂的なまでのファンであり、約2年間の間、毎週欠かさず2~3回ほどは二郎を食べていた。
それが、もう7年も昔のことになるのだが、いまだに二郎は大人気で、単なる一過性のブームでなかったことを痛感する。
なぜ二郎はこんなにも特別に人気なのか?
そして、おいしいのか?
そして、おいしいのか?
それを考えてみた。
そして、それをCooking Maniac流に「科学的な視点」を含めて考察してみた。
[麺][スープ][具][総合]
の4つ要素に分けて、4回にわたって分析していく。
まずは、麺から説明しよう。
[麺]
一言で説明すると・・・
『二郎の麺は、「オーション」という精製度の低い強力粉で、低加水率の超極太麺を作られている』
これだけで、製麺に少し詳しい人であれば、「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
ってなるはず。
まことに驚きの事実なのですよ。
小麦粉や、製麺の知識・技術がかなり発展している現代ならまだしも、創業時の1968年にこれを発想しているのは、非凡の極みとしか言いようがない。
どういうことか、イメージを例えて説明するなら・・・
例:3つの変数(X、Y、Z)を足して10を作りましょう。
って問題があったら、
X(2)+Y(3)+Z(5)=10
ってするか、
X(5)+Y(1)+Z(4)=10
とかするのが、常識なのに・・・・
二郎は・・・
X(10)+Y(10)+Z(10)=30 じゃあーーーーー!!!ガハハハハ!!!!
みたいな感じ(笑)
あくまでイメージなんですが、伝わりますかね?(笑)
とにかく、いろいろ常識外れで、ぶっ飛んでるんだよね。
まぁ、こんな分かりづらいイメージの話はおいといて・・・・
こんな風に、
『二郎の麺は、「オーション」という"精製度が低い""強力粉"で、"低加水率"の"超極太麺"を作られている』
として、
"精製度が低い"
"強力粉"
"低加水率"
"超極太麺"
の4つの要素に分解して詳しく説明していきましょう。
まず、順番が前後しちゃいますが・・・
<"強力粉"について>
小麦粉の知識として、小麦粉は大まかに、
①薄力粉
②中力粉
③準強力粉
④強力粉
に分けられます。
で、上記3つの分類方法ですが、[小麦粉中のたんぱく質含有量]によって分類される。
小麦粉の分類 ・ たんぱく質含有量(%)
①薄力粉 ・ 7.0~8.5
②中力粉 ・ 8.5~10.5
③準強力粉 ・ 10.5~11.5
④強力粉 ・ 11.5~13.5
となっていて、たんぱく質が多いほど、より[グルテン]が形成される。
このグルテンというのは[麺筋]といわれていて、麺の独特の弾力や、延性を産む。
つまり・・・麺のたんぱく質量が多いほど、コシの強い麺が出来るってわけ。
ちなみに、オーションのたんぱく質含有量は[13%]
強力粉の中でも、さらに高い!!
<"精製度が低い"について>
小麦粉というのは、等級(グレード)が振分けられている。
それは、[灰分値]といって、[小麦粉中の含有ミネラル量]によって、定められている。
灰分値が高い方が、等級が低くなってくるのだが、これは、小麦の外皮により近い部分も精製しているからである。そして、外皮にミネラルは含まれているので、精製度の低い小麦=灰分値(ミネラル含有量)が高い。
ってなってくるわけなんですね。
分類の値としては、
小麦粉の等級 ・ 灰分値(%)
特等粉 ・ 0.3~0.35
1等粉 ・ 0.35~0.45
2等粉 ・ 0.45~0.65
3等粉 ・ 0.7~1.0
末粉 ・ 1.2~2.0
となっていて、灰分値が多いほど等級が低くなってくるのだが、味への影響としては、灰分値が高い方が、色が灰色が強くなり、小麦の風味が強くなる、値段も安くなる、そして製麺にはあまり関係がないが、酵母活性が高くなる。
ちなみにオーションの灰分値は[0.52%]。2等粉にあたるわけで、これが二郎の小麦の香りがムンムンする麺の秘訣であり、等級が低めの粉を使うことで同時にコストも抑えている。
俗に言う、"こだわりのラーメン屋"が等級の高い小麦を使用していたので、時代と逆行する道をあえて選んでいたわけですな。
<"低加水率"について>
加水率というのは、麺をこねる際に小麦粉に対して加える水の量の割合のこと。
加水率が高いと、麺は水を多く含んでるので、フワっとしていて、もちもちした食感で、やわらかい口当たり。
加水率が低いと、小麦粉の密度が高いので、しっかりした歯ごたえ、がっちりした食感、硬い口当たり。
になる。
麺の種類 ・ 加水率
うどん ・ 50%前後。
一般的な中華麺 ・ 35%~45%。
二郎麺 ・ 30%~35% ※店舗によって差がある
「たった何%の違いじゃん?」
って思われるかもしれないが、たった1%違っただけでも全然仕上がりが違ってくる。
そして、加水率が低いと、小麦粉をまとめたり、伸ばしたりするのが難しくなり、麺にするためにすごく強い力が必要になってくる。つまり、強い圧力をかけて、麺を押し固めていくってこと。
加水率低めの麺に強い圧力をかけるわけだから、二郎の麺は[麺の密度が高い]。それもポイント!
<"超極太麺"について>
超極太麺に関しては、見ての通り。
中華そば、が一般的だった時代にあれだけの、うどんみたいにぶっとい麺を作ったのがすごい。
なぜ、あの太い麺が出来たのか?
については、製造上2つのポイントがある。
まずは[切り歯]。
麺というのは、大きな麺の帯を作って、それを一定間隔に歯がついたローラーに通して、麺を切り出していくのだが、その歯の感覚によって麺の太さが決まる。
一般的な番手での麺の太さ基準データ
・極太→→→14番手(約2.1mm)
・太麺→→→16番手(約1.9mm)
・中太麺→→→18番手(約1.7mm)
・普通→→→20番手(約1.5mm)
・中細麺→→→22番手(約1.4mm)
・細麺→→→24番手(約1.3mm)
・極細麺→→→28番手(約1.1mm)
※「そうだ!自分でラーメンを作ろう!」 参照
しかし、二郎はそのさらに上をいく12番手(2.50mm)、10番手(3.00mm)・・・・を使用している超極太麺。
そして、前項の[麺厚]も通常の麺に加えて厚みがあるため、[横幅が広い×麺の厚みが高い]によって、当時の市場には存在しなかったであろう、常識外れの超極太麺が出来上がったのだ。
<総論>
ぜぇぜぇ・・・・
かなり長くなってしまった・・・・・
なんか、論文みたい。
さぁ、いままでの要素をまとめよう。
"強力粉"によって、麺のコシが強い
"精製度が低い"によって、小麦の香りが強い
"低加水率"によって、小麦の密度が高く、弾力が強い
"超極太麺"によって、歯応えが強い
という【4強】の麺なのです!!!!
最強の麺!!
しかし・・・
最強の麺=最強のラーメン
という単純な図式ではない。
これだけ、強い麺にあわせるスープとなると、この麺に負けないような強さを求められる。
それだけの強いスープをどうやって作ったのか?
また次回書いていきたいと思います~。
続きの【二郎はなぜうまいのか?】シリーズはコチラ!
あと・・・・
も書きました!
是非♪
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コメント
コメント一覧 (11)
調理の視点からの二郎推し笑いました。笑
「いつも楽しみに読んでる」
なんて嬉しい御言葉ッ!!
さきこ様により楽しんでいただけるよう、キーボードを叩く指が複雑骨折するのも厭わない覚悟で、
【スープ編】http://cookingmaniac.net/archives/24964166.html
書きましたので、是非是非読んで下さいーーーー!!
ガジェット通信というウェブニュース媒体を運営しております編集部の寄稿チームと申します。
【二郎はなぜうまいか?】第一部 ~麺~
http://cookingmaniac.net/archives/24889182.html
こちらの記事を弊社媒体に寄稿記事として掲載させていただきたくご連絡申し上げました。
お手数かとは存じますが、詳細をお伝えしたく、ガジェット通信編集部(kiko at razil.jp)まで一度ご連絡いただければ幸いに存じます。
何卒ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
読んでいただいた上に、コメントまでくださりありがとうございます!!!
「楽しく読ませていただきました」なんて嬉しすぎます!!
具編・統括編なのですが、私が確認したところ、リンクも切れておらず特に問題を特定できませんでした・・・
具編
http://cookingmaniac.net/archives/25045533.html
統括編
http://cookingmaniac.net/archives/25122522.html
こちらのリンクからも読むことは出来なさそうでしょうか?
http://cookingmaniac.net/archives/25357932.html
ページ末のリンクです。また、気になるのは「二郎はなぜうまいのか?」タグをクリックして表示されるページ
http://cookingmaniac.net/tag/%E4%BA%8C%E9%83%8E%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%81%86%E3%81%BE%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%8B%EF%BC%9F
に、麺編とスープ編しか表示されていないことです。
何かご参考になりましたら幸いです。
ご指摘いただきましてありがとうございます!!
・リンク先がライブドアブログになってしまう問題
・「二郎はなぜうまいのか?」タブをクリックしても麺編とスープ編しか表示されない問題
両方とも修正しました!!
おかげさまで、ブログの欠陥に気付くことができまして、大変助かりました!!
本当にありがとうございます!!
実は当方も料理に関しては東山様のようなスタンスで取り組みたいと思っておりまして、「具編」「総括」ともたいへん参考になりました。
そうなんですよね。個人的に、以前から二郎(の、本店、目黒、上野毛等、乳化度が低そうに見えるお店)って、実はスープはすごくスタンダードかつプレーンな手法で構成していて、麺とニンニクとブタをがっつり食わせるための計算を徹底してるよなー、と思っていたもので、得心がいきました。
プレーンな文章も好感です。これからもちょくちょく拝見させていただきます。乳化度高めの二郎(いっそ陸とかw)と、低めの二郎の比較記事などもぜひ読んでみたいなと思っております。
今後ともよろしくお願いいたします。
ありがとうございます!!
こんなにお褒めいただけるなんて恐縮です!!
と、同時にめちゃくちゃ嬉しいです!!
ですね!!乳化度の低い二郎こそ、すごくスープに手間をかけて、上手にダシを抽出しているなぁ・・・と思います!!
特に、上野毛は二郎の中でもベスト3に入るくらい大好きです!!
確かに、乳化度高で二郎(もしくはインスパイア系)を比較してみるのは興味深いですね!!そういうアドバイスなどいただけるとありがたいです!!
今後も、何かございましたらいつでもご連絡下さい!!
このインスパ店主は直系の中では質的に末端ともいえる店出身ですが、今は独自の味を作り出しています。最初にこの店で食べた瞬間、獣臭で直系二郎出身とわかりました。