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回鍋肉 ・・・

それは四川の人が一番大好きな料理。
回鍋肉は四川発祥の料理でして、四川の人から言わせると、日本の回鍋肉は「肉とキャベツの味噌炒め」のようです。

四川で初めて回鍋肉を食べてみましたが、確かに全然違う・・・
どれだけ違うのか?ビジュアルを目の当たりにすれば一目瞭然!

今回の記事では、
①四川で食べた色々な回鍋肉を紹介
②四川式回鍋肉を完全に再現したレシピの紹介

していきます!


四川で一番人気の回鍋肉
回鍋肉にただならぬ情熱を燃やす四川の人たちの間で一番人気のある回鍋肉を食べに行きました。
その名も「連山回鍋肉」
そのお店ではもともと、「究極の回鍋肉」を作るために豚を飼育して、その豚の中でもお尻の肉だけを使用する、という贅沢すぎる回鍋肉を作っていたそうです。
今は人気が出過ぎて、豚の飼育が追い付かず市場で厳選した豚肉を使用しているそうなのですが、それだけ回鍋肉にこだわるお店なら美味いに違いない・・・!ということで行ってきました!


それがコチラのお店。
なんと成都から1時間30分ほど車で行った小さな村にデデンと構える大型レストラン。
こんなに悪い立地にありながらも連日、四川や中国全土からお客さんがやってくるそう。


四川のレストランの中でもかなり綺麗な部類に入ります。
昼過ぎに伺ったのですが、ほぼ満席で、みんな回鍋肉を頼んでいました。


屋内は満席のため、外のテラス席で食べることにしました。

厨房はこんな感じ。
かなりキレイに整備されていることからも一流のレストランであることがうかがえました。


そしてこちらが四川で一番人気の連山回鍋肉。
物凄いボリューム感です。
この店のユニークなところは、注文の単位。
小サイズ、中サイズ…とか一皿、二皿…とかではなく、肉の枚数で注文するのです。
今回は5枚頼みました。
ガイドさんからは「絶対そんなに食べられないからやめといた方がいいよ!」と言われましたが、料理と対面して納得。恐ろしいくらいのボリューム感!


横から見たらこんな感じ。
驚くべきは肉の分厚さ。1枚が1cm近くの厚さ&15cmほどの長さがあるのです。その巨大な肉を折りたたんで皿に乗せているため、巨大な肉の山になっています!
具材の構成は非常にシンプルで、豚肉&葉ニンニクのみ。
この構成が最も伝統的な回鍋肉の構成らしいです。


それでは、いただきましょう・・・
ぐぐぐ・・・・こ、これは・・・・
めちゃくちゃ美味い!!
ジューシーな豚肉の甘味&肉汁が弾け、そこに奥深い辛味と凄い旨味、ほのかな渋みが合わさって複雑玄妙な味わい。
また、豚肉が皮付きなのも良い。皮際のゼラチン質が溶けてトロッとしたエキスが旨味を倍加させます。
それに、こんなに分厚い肉なのにすごく柔らかい!
サクッと歯で切れてしまいます!
さらに驚くことに、豚肉自体にかなり脂身が多いのですが全然脂っこくない!

というのも、回鍋肉という料理の成り立ちに秘密が隠されています。
回鍋肉というのは、豚の塊肉を一度茹でて火を入れ、取り出してからカットして野菜と炒め合わせて、豆板醤などで味付けをした料理のことなんです。
一度茹でた豚肉が、炒めるときにまた鍋に回ってくるから「回鍋肉」と名付けられたのです。

一度茹でることによって余分な脂肪分が抜けているので、これだけ脂がたっぷりな肉でも脂っこくなく食べられるわけです。非常に理にかなっている調理法です。

確かにこれは究極の回鍋肉かもしれない。回鍋肉に対する既成概念がぶっ壊されました!

高級レストランの回鍋肉

◆高級レストランの回鍋肉

こちらのお店は、日本でいうところの表参道のど真ん中にあるレストランです。
開店1時間前から200人が並び、営業中も行列が絶えない大人気店。
こちらでも回鍋肉をいただいてきました。


それがコチラ。
なんとも上品な見た目です。
でも、皮付きの豚肉、葉ニンニク、と構成は全く変わりません。

連山回鍋肉に比べると肉も薄めにカットされていますね。
それではいただきます。
おぉーーーーー!!美味しい!!!
なんとも上品なお味!
連山回鍋肉が豚肉の旨味を前面に押し出した超攻撃的な味わいであったのに対し、こちらは肉の旨味&葉ニンニクの甘味&調味料による巧みな味付け、その3者が非常にキレイなバランスを保っているお味です!
どうやら味付けの要は豆鼓のようです。
豆鼓の発酵食品由来の旨味、塩気、渋みが調味の芯になっていますね。
やはり四川は発酵食品の使い方がとても巧み。


四川の人が大好きな葉ニンニク。
ニラの香りがするネギ、といえば伝わりやすいでしょうか。
甘味と旨味が濃くて柔らかい、かなり美味しい野菜です。
日本ではなかなか手に入らないのが悲しい・・・
回鍋肉にはこれ以上にマッチする野菜はないんじゃないか?と感じてしまいます。

最も伝統的な回鍋肉

今回の四川訪問で最も勉強させていただいたお店。
伝統をかたくなに守り抜いた、純正な四川料理を食べさせてくれるお店です。

伝統的な回鍋肉とはどんな回鍋肉なんでしょう・・・期待に胸が高鳴ります!

なんと!今まで食べてきたお店と構成要素は全く変わりませんでした!
皮付きの豚肉に葉ニンニク、そして豆鼓が点在しています。
皮付き豚肉・葉ニンニク・豆鼓、この3つが回鍋肉にとって重要な要素なのですね!
そしてシェフに尋ねたところ、回鍋肉にとって重要なことは、「肉がクルンと反っていること」のようです。
肉がクルンと反っていることで、ソースに良く絡み美味しさに繋がるのだとか。
皮付きの肉を使うのも、肉がクルンと反るようにするためらしいです。
こんなに細かい要素まで大事にするところを見ると、四川の人たちが回鍋肉に注ぐ情熱の熱量が違うことに感嘆してしまいます。


それではいただきます・・・

・・・・・

・・・・・・・・・

神。

やばいです。美味すぎます。

「完璧を超えた回鍋肉」。一口食べた瞬間にこの言葉が頭に浮かびました。
脂身が多いのに脂っこくない肉、皮際のゼラチン質の濃厚な味わい、葉ニンニクの甘さ、豆鼓の旨味&渋み、このあたりの印象は変わらないのに、今までの回鍋肉にはない旨味成分がある・・・
その旨味が加わることで旨味の掛け算が起きているんですよ。
この旨味の元はなんだろう・・・?と思って探っていると、その正体を見つけました。

こいつです。
これはチシャ菜という茎の太いロメインレタスのような野菜の漬物なのですが、物凄い手間がかかっている漬物なんですよ。
なんと、干して乾燥させて、蒸して、また干して乾燥させるという工程を5回繰り返したあとに塩漬けして数年寝かせる、という大変なもの。
味のイメージとしては、日本の高菜漬けを5倍くらいに凝縮させたようなイメージ。
この旨味が全体をどっしり支えていて、全体として凄く分厚い旨味を作り上げている訳です。


その漬物を市場で発見しました。
そのまま食べると、ギュッと硬いのですが噛めば噛むほど旨味が溢れ出てくる。
その感覚はスルメに近いかもしれません。
これを油で炒めると、さらに旨味が引き出されるとともに、独特の芳香が生まれて料理の格をグンと上げてくれます。
今回、本気で日本でも手に入れたいと思った食材の一つ。
自作しようと思って色々聞いたのですが、さすがにこれだけの手間はかけられないなぁ・・・と思い、泣く泣く断念。

四川式回鍋肉のレシピ
日本では手に入らない食材がたくさんあり、『完全再現』とはなりませんが、かなり近い味のレシピを作ることが出来たので紹介します!

<材料>
豚バラブロック→茹でた後カットして200g使用
生姜適量
葉ニンニク 100g
※手に入らなければ、ネギの白い部分70g+ニラ30gで代用

サラダ油 50g
ピーシェン豆板醤 20g
豆鼓 10g
ニンニク2かけ
甜麺醤 5g
味の素 ひとつまみ
紹興酒 大さじ2

<作り方>
①鍋に水を入れ、豚バラ肉ブロック、生姜スライスを入れ弱めの中火にかける
※ゆるやかに水温を上げたいため鍋には蓋をしない
②沸騰寸前に火を止める
③豚肉を取り出して触ってみて、ブニブニした触感でなく、しっかりした弾力があれば取り出す
※ブニブニした触感や、肉を押したときに血がにじむようであれば湯の中に入れておく
※肉の大きさ、火力、鍋の材質などにもよるが大体着火から40分くらいが目安
④豚バラ肉を厚さ5㎜ほどにスライス
※この時8~9割火が通っているのが理想。完璧に火が通っていると肉が硬くなる
⑤葉ニンニクをカット、豆鼓を軽く刻んでおく
⑥鍋に油を取って強火で加熱
⑦④の肉を入れる
⑧⑦の直後に、豆鼓、豆板醤を入れ、火力を中火に変更
⑨豆板醤を肉、油とよくなじませるように炒める
⑩ニンニク、甜麺醤、味の素、紹興酒加え、強火で炒める
⑪⑩の10秒後くらいに葉ニンニクを入れて、軽くしんなりさせる
完成

<ポイント>

水からゆっくり煮て、ゆるやかに火を入れていく。
焦って火力を強くして煮ると肉がすごく硬くなるので厳禁。
炒める調理工程で完全に火が入るので、この段階で完全に火を通さない。


8割ほど火入れして取り出した肉はこんな感じ。
このまま粗熱が取れるまで皿の上に置いておいて、余熱で9割まで火を通す。


スライスした豚肉はこんな感じ。
9割の火入れはこれくらいの色味が理想。
茹でた後、皿の上に置いて粗熱を取れば、切った時に肉汁が漏れない。
そして欲を言えば、この工程はよく切れる包丁、もしくは研いだばかりの包丁で挑んでいただきたい。


こちらが葉ニンニク。
スーパーではまず売ってない食材。
今回、上野アメ横センタービル地下街で手に入れました。
アメ横センタービル地下街で手に入らない中華食材は、日本ではどこでも手に入らないんじゃないか?と思うくらい凄い・・・

調味料が染みやすく、火が通りやすいことを重視し、切り口が斜めになるようにカットします。

四川式回鍋肉はご飯が進みすぎるッ・・・
完成品がコチラ!
どうですか!!
かなり四川で食べた回鍋肉に見た目が近いかと思います!
豚肉・葉ニンニク・豆鼓、この3者を軸にするという、四川の回鍋肉の伝統を守った一品です。


それではいただきましょう・・・

ぐ・・・・・・・

最高だ!!!

まず、肉を低温からじっくり茹でて、完全に火が通る前に取り出したおかげで、こんなに分厚いのに信じられないくらい柔らかい!
その柔らか&ジューシーな肉に豆鼓の旨味&渋み、葉ニンニクのやさしい甘味が渾然一体となって溶け合い・・・あぁ、なんて幸せな味なんだッ!!
自分で言うのもなんですが・・・
これは、完全に四川の回鍋肉です。
それにご飯にめちゃくちゃ合う!本当にご飯が止まらない!
回鍋肉を作る時はいつもの2倍の量のご飯を炊くことをおススメします!

今回、レシピを載せる上で、「葉ニンニクの入手」がかなりネックになると思ったので、葉ニンニクの代わりに白ネギ+ニラを使用するバージョンでも作ってみたのですが、これでもかなり四川の回鍋肉の雰囲気が出ている美味しいものが出来ました!
回鍋肉で一番大事なのは、「豚肉の火の通し加減」です。
火を通し過ぎて、肉が硬くなってしまうと本当に台無しなので気を付けてください!

そして、一回茹でた肉はカットしない状態で、よく水気をふき取って、ラップにくるんで冷蔵庫に入れておけば、次の日までは余裕で持つので、翌日もすぐに回鍋肉を作れますよ!
これ、本当に美味しいお気に入りのレシピなので、ぜひ作ってみてください!!

余談:四川で聞いた"回鍋肉"の起源
とある四川の村で豚肉を飼っていて、1頭の豚肉を捌く時には、色々な部位に分けて村人全員に分配していた。
でも昔は冷蔵庫なんてないので生肉のまま保存できず、一度茹でて火を通してから保存。
その一度茹でた肉をスライスして、豆鼓や豆板醤などの長期保存がきく調味料、そして家にある適当な野菜を一緒に炒めたのが回鍋肉の起源。
だから回鍋肉の本当に厳密な定義で言うと、
「一度茹でた肉をカットして調味料&野菜と炒めたもの」
になるらしい。
だから、葉ニンニクを必ずしも使わなければいけないわけではなく、中国の田舎の方に行くと、その時獲れる旬の野菜とかで炒めたバージョンがよく見られるようです。
なので、回鍋肉好きの皆様は葉ニンニクが手に入らなくても、自分の好きな野菜で色々な回鍋肉を追求してみたください!

↓↓中国・四川レポートシリーズ↓↓
・中国・四川レポート ~街の食堂から屋台まで、四川の食事情徹底紹介~
・中国・四川レポート② 担担麺の定義とは?~四川に行って徹底的に調べてきた~
・中国・四川レポート③ 生姜泡菜の再現レシピ ~四川の漬物文化の奥深さ~
・中国・四川レポート④ 四川の麻婆豆腐再現レシピ ~四川の麻婆豆腐食べ比べ~




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