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四川料理とは何ぞや・・・?

四川に行く前の僕だったら、
「唐辛子の辛さである"辣(ラー)"と花椒の痺れである"麻(マー)"を活かした中国の料理8大料理体系の一つさ!」
と、ミスター味っ子ばりに即答していたでしょう。

しかし今回四川で、30店舗36食ほど四川料理の数々を食べ、少し分からなくなってしまいました・・・

確かに、辣と麻を巧みに活かした料理が多いのは間違いないんです。
そこは実感して、さらに確信した部分でもあります。
でも、四川料理の神髄とは、もしかしたら・・・
「発酵食品の旨味を主軸とした料理」
なんじゃないかと思うのです。

四川省の立地的な背景から紐解くと、四川は中国の内陸に位置し、高温多湿な気候が特徴です。
海に面していないため水産物系の食材が乏しく、高温多湿ゆえ生の食材の保存がきかない環境であった。でも野菜は豊富に獲れる。
そのため、漬物文化が発展
野菜を漬物にすれば、食材の保存がきくし、栄養価がアップ。
さらに発酵食品独特の旨味が生まれるため、水産物系食材の旨味に頼らずとも料理の味わいが豊かになる。
こうして、大豆を塩漬け発酵させた豆鼓や、そら豆と唐辛子を主原料とした豆板醤などを筆頭にした素晴らしい発酵食品が生み出されていったんじゃないかと思うわけです。

いきなり難しいことを言ってしまてスミマセン!
今回の記事では、
①四川で見つけた漬物を活かした料理の紹介
②四川の漬物の作り方のレシピ紹介
③四川の漬物を活かした簡単な料理のレシピ紹介

をしていきます!!ぜひご覧ください!



四川の漬物を活かした料理色々


まず、驚いたのがコチラ。
芽菜(ヤーツァイ)の饅頭です。
肉まんのような感じで売られていたので、さすがに肉と芽菜を混ぜた饅頭かと思ったら違いました。
芽菜100%の饅頭です。
饅頭の皮・芽菜だけで構成されている極めてシンプルな料理なんですが、これが不思議と美味い。
皮に包まれることで、芽菜だけで食べているよりも芽菜の味わいをより感じられ、素朴な美味さがあります。
これを食べた時、芽菜の大胆な使い方に驚いたとともに、四川人の芽菜に対する愛情の深さを感じました。

芽菜は中国食料品店に行けば日本でも手に入ります。
僕が店主を務める汁なし担々麺専門店「タンタンタイガー」でも芽菜を使用していますが、料理の旨味を裏方から支えてくれる影の力持ち的存在。タンタンタイガーの汁なし担々麺には欠かせない存在です。
味は日本の高菜漬けに似ていて、高菜よりももう少し甘味があり、凝縮された旨味が強い食材です。


豆鼓(トウチ)も四川料理を語る上では絶対に欠かせない発酵食品。
大豆を塩漬けして発酵させた食品で、力強い旨味、ほどよい塩気、ほのかな渋みがあって、料理の味わいの厚さを増してくれる食材です。


伝統的な四川料理を提供しているレストランでは自作しているお店もあります。
藁に包んでありますが、納豆みたいにネバネバしていません。
カラカラに乾燥していて、触感だけで言うと日本の甘納豆に近いです。
ちなみに、四川で豆鼓を自作しているほどこだわっているお店があったら、そこは100%美味しいので絶対に入りましょう!

これは凄い漬物ですよ!
青菜を、[太陽の光に当てて乾燥→蒸す]という工程を5~6回繰り返した後、塩漬けして数年寝かせる、という漬物。
ここまで手間をかけた漬物が普通に市場で買えてしまうという、素晴らしい食文化。
食べてみると、グギュッという詰まったハードな食感と、おだやかな塩気、そしてとてつもない旨味を感じる凄い食材です。
本気で日本でも手に入れたいと思った食材の一つ。
これさえあればできる凄い料理が数えきれない位あるのになーーーー!泣


とある超人気レストランでは、すべての調味料や発酵食品を手作りすることにかたくなにこだわっていて、そこでは店の奥に漬物専用の部屋がありました。


大きな壺の中には様々な漬物が仕込まれており、この生姜の漬物がめちゃくちゃ美味しいんですよ!!!
これは「泡菜(パオツァイ)」といって、四川では非常にスタンダードな漬物で、いわば野菜の塩水漬けです。
たかが塩水漬けあなどることなかれ!
塩水につけることで野菜が持つ乳酸菌の力により発酵し、甘くフルーティな芳香と、深い旨味が生まれます。
シンプルな作り方なのに、その香りの素晴らしさと旨味の増加量には驚きました!
今回、四川でもかなり感動した食材の一つ。


ちなみにこれが四川の伝統的な漬物用の壺です。
蓋の周りに水が張ってあり、壺の中から発生したガスは水を通じて抜けていくけど、虫や細菌は侵入できないといった作りです。
四川人の知恵と工夫には驚くばかりです。
この壺もめちゃくちゃほしい・・・

四川の市場に行くと漬物の市場があり、本当に多種多様な漬物が売られています。
こちらは泡菜のコーナー。写真手前にあるのが唐辛子の泡菜で「泡辣椒(パオラージャオ)」といいます。
泡辣椒も四川の人が愛してやまない漬物で、よく料理の味付けに使われるのですが、フルーティな香り、濃い旨味、のほかに奥深い辛味が生まれます。

こちらにもありました。生姜の泡菜。
本当に塩水に唐辛子をつけているだけのようです。
少しだけ赤唐辛子も入ってますね。
こっそり漬け液を舐めてみたら6%程度の塩分度合でした。
にしても、漬け液の旨味がすごい。発酵の力によって漬け液が調味料に近いくらいの旨味を有しています。
どうやら、生姜が全部なくなったら、この液にまた塩水を継ぎ足して生姜を再び漬けるようです。
漬ければ漬けるほどうまくなる、うーーん、これはたまりません。
この泡菜の技術パクらせていただきます!
ということで、お次は生姜の泡菜の再現レシピを紹介します!

生姜の泡菜再現レシピ
<材料>
生姜 1kg
塩分濃度6%の塩水 (水3リットル:塩180g)
※夏場は8~10%にして腐敗を防ぐ
赤唐辛子 3本
芋焼酎 50cc

<作り方>
①生姜の皮をむく
※完璧にキレイにむかなくてもOK
②水に塩、唐辛子を加えて沸騰させ、完全に塩を溶かす
③②を冷ます
④清潔な容器に③を入れる
⑤④に生姜と焼酎を加える
⑥容器に空気孔を作り直射日光の当たらない常温の場所にて保管
※冷蔵庫だと乳酸発酵しないのでダメ。夏場は室内の比較的涼しい場所がベター
⑦7日以上置く
完成

<ポイント>

皮むきした生姜。
ピーラーで向いた後、細かいところは包丁の背でこそげ落とすのが楽。


塩水は鍋ごと冷やすのが楽ちん。
冷やしたいからといって、塩水に氷を入れると塩分濃度が変わってしまうので絶対ダメ!


容器に入れた塩水。
容器は水気をふき取った後、アルコール消毒して吹き上げるのがベター。


漬けたばかりの生姜。
まだ水も透明でキレイ。


漬ける容器は、梅酒とかを作る時に使うビンが適しています。
梅酒を注ぐようのキャップが付いているので・・・


こちらをガーゼで蓋をして縛ってやると、ビン内で発生したガスは抜けるけど、虫やほこりなどは入らない仕様になります。

これが完成品。
漬けた初日は水も透明で、生姜が浮かんでいますが・・・

5日目。
あきらかに水が濁り、生姜も全て沈んでいます。
この状態でも食べてみたのですが、まだ生姜の生っぽさが残っており、漬物自体の塩分も旨味も乏しい感じでした。


7日目。
かなり水が白濁しています。
5日目からすると急激に発酵が進んだような印象。


蓋を開けて、香りをかいでみて仰天!
ライチです!
フレッシュなライチの香りがするんです!
これが発酵の力か・・・・凄い!


取り出して食べてみましょう。

スライスして食べると・・・
うおおおおおおおお!これは美味い!!!
生姜の繊維質が発酵によって破壊されたのか、ちょっとしんなりしていて、歯切れがよくなっています。
そして、穏やかな塩気と強い旨味がたまらん!!
このままご飯と食べても美味しそうですが、料理に使ったら凄い効果を発揮してくれそうです!

生姜の泡菜を使った簡単レシピ
あまりに良い生姜の泡菜が出来たので、この泡菜の力を存分に発揮できる簡単レシピを考えてみました。

生姜泡菜と豚肉の炒め
<材料>
豚モモ肉 200g
泡生姜 100g
ネギ 100g
ごま油 40g
塩 1ひとつまみ
味の素 1ひとつまみ
紹興酒 大さじ1杯
薄口しょうゆ小さじ1

<作り方>
①生姜泡菜を千切りにする
②豚肉を食べやすい形にカットする
③ネギも①②と同じサイズにカット
④鍋を強火で熱し、ゴマ油投入、
⑤生姜投入し油になじませるようにして炒めていく
⑥豚もも肉投入してほぐしながら9割がた火を入れる
⑦塩、味の素、紹興酒、薄口しょうゆを加える
⑧ネギを加え、ネギがしんなりするまで炒める
完成

<ポイント>

材料の全て。すごくシンプル。
炒め物をするときは、必ず事前に全ての食材・調味料を用意しておく。


最初に油で生姜泡菜を炒めることで旨味を引き出す
生姜泡菜だけに限らず発酵食品は油で加熱した時に旨味が凝縮され、独特の芳香が生まれます。

完成!生姜泡菜と豚肉の炒め物


完成はこんな感じです。
作り始めてから完成まで10分とかからない、超お手軽レシピです。
この料理は可能な限り調味料の使用をシンプルかつ最小限に抑えているのですが・・・
それは生姜泡菜の旨味と塩気を味つけの要としているからです。
今回は漬け始めてから7日目の生姜泡菜を使ったので、味の素を使って旨味を補いましたが、もっと発酵が進んで旨味が増した生姜泡菜であれば味の素も必要ないと思います。


肉と生姜泡菜を一緒に食べてみてください。
普通であればこんなにたくさん生姜を食べると相当辛いですが、漬けたことにより辛さは穏やかに抑えられています。
辛さは抑えられているものの、生姜の香りは健在!それどころかフルーティな芳香も加わり、香りの面でも楽しんでいただけると思います。
味わいはシンプルな塩味ベースですが、生姜泡菜の旨味により、豚肉の甘味が引き立つほどの丸みのある味わいです。
もちろんご飯にも超合います!

とにかく、生姜の泡菜は作るのも簡単だし、おかずとしても、特に調味料として素晴らしく優秀なのでぜひ作ってみてください!
そして、良い生姜の泡菜ができたらその実力を試すべく、豚肉と一緒に炒めて食べてみてください!!

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