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こんにちは!
汁なし担々麺専門店『タンタンタイガー』店主の東山です!
突然ながら少し自己紹介させていただくと、僕は高校生の頃から、ラーメンの食べ歩きと、中華料理を作ることが大好きで、その趣味が高じてタンタンタイガーの開業に至った人間であります。
タンタンタイガーの汁なし担々麺は、”汁なし”ではありますが、実は少しスープが入っています。
そのため、日々仕事でスープ作りをしており、今までスープ作りの研究を重ねてきました!
なので、職業柄もあって”料理とスープの関係性”というものを日々考えております。

そして、この2年で中国・四川や、中国・上海に行ってきて様々な料理の研究をしたところ、中国料理では料理によってスープを使い分けており、そのスープがかなり味の要になるということを実感しました。
↓↓中国訪問記事
中国・四川レポート ~街の食堂から屋台まで、四川の食事情徹底紹介~

中国・上海レポート 〜上海で気になったもの全部食べてみた〜

その中でも、白湯(パイタン)スープの汎用性と重要性を感じることが多く、白湯スープなしには成り立たない料理が数多くあることに驚きました!

例えば、
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四川にとどまらず、中国全土で大人気である火鍋のスープのベースは白湯スープがベースになっており、こちらに香辛料や唐辛子、油脂を加えたら真っ赤な火鍋スープになります。

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上海の街の食堂で食べたスープ料理。
白湯スープに酸菜(酸っぱい高菜漬け)と牛肉を加えた、酸っぱ旨いスープ

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四川の街の食堂で食べた炒めもの
辛くない青唐辛子、兎肉、インゲンの酸っぱい漬物を炒め合わせたものなのですが、こちらも白湯スープが味のベースになっていました。

鍋や、スープ料理はもちろんのこと、炒めものにまで幅広く活用できる白湯スープ。
白湯スープを作れるようになると、料理の幅が広がり、その味わいも本格的になること間違いなし!
以前、鶏白湯スープの作り方に関してはブログで書きましたが、今回は豚骨も使い、さらに本格的な内容となっております!
↓↓
完全図解!どこよりも詳しい!濃厚鶏白湯スープの作り方
それでは!白湯スープの詳しい作り方について、材料選びの理論火入れの理論なども含めて超実践的に紹介します!

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白湯スープにまつわる3つの考えごと
白湯スープを作るときに、まず考えなければいけないことが3つあります!
1つめは、『何リットルのスープをとりたいか?』
2つめは、『材料のチョイスはどうするか?』
3つめは、『乳化の理論』

一つひとつ詳しく解説していきます!

『何リットルのスープをとりたいか?』
これを決めることが大事なのは、
スープをとりたい量を決めないと、材料の総重量と、必要な鍋の大きさが決められないからです。

そして、スープのとりたい量が決まったらこの方程式を思い出してスープ材料の量を決めてください!

とりたいスープの量:スープ材料の重量=1:1

です!
つまり、1リットルのスープをとりたい時には1kgのスープ材料を加えます。
この分量比でスープをとると、かなり美味しく十分な濃さのスープになります。
もし、この方程式をベースにして、特濃にしたければ材料を多くして、薄くしたければ材料を減らせばいいわけです。

とうことで、今回は5リットルのスープを作りますが、こちらを参考にしてとりたいスープの量や、持ってる鍋の大きさに応じて材料の分量を変えてみてください!

『材料のチョイスはどうするか?』
ゲンコツ、豚背骨、丸鶏、鶏ガラ・・・など色々なスープ用材料がある中で『何を使うか?』はスープの味わいを決める、とても大事な選択になります!

スープの材料選びをする時には、食材ごとに以下の分類をすると材料選びが的確にできるようになります!

弱い旨味系
強い旨味系
粘度系


で食材を分類する、ということです!
実際に分類してみましょう。

弱い旨味系
鶏ガラ
豚背骨
ゲンコツ

などの、“骨”が中心になる部位です。
骨には骨髄が内包されており、その骨髄からは穏やかな旨味が出ます。
そして骨は原価が安いのでたっぷり加えることができるというのもメリット。
ただ、出る旨味の量に対して鍋の容量を多く使用してしまう、というデメリットもあるので、十分な大きさの鍋がない場合には、次に紹介する『強い旨味系』の比率を増やすという工夫が必要になります。

強い旨味系
丸鶏
鶏肉
豚肉
牛赤身肉

などの“肉”が多い部分です!
肉を煮込むと旨味がたっぷり出るので、スープに旨味をたっぷり加えたい時には肉を多く入れます。
ただこちらの分類に属する食材は原価が高くつくので、次『弱い旨味系』と併用することでバランスをとりましょう。

粘度系
豚足
豚皮
豚ゲンコツ
モミジ(鶏脚)
鶏皮

などの“コラーゲン質”が多い部分です!
コラーゲンはタンパク質の一種であり、熱を加えると分解されて“ゼラチン”になります。
このゼラチンは非常に小さい糸のような構造をしており、ゼラチンが水分中に増えると、スープに粘度が増し、いわゆる『トロミがついた』ような状態になります。
ゼラチンによるトロミはとてもきめ細やかなトロミなので、スープに上品な粘度を加えることができます。

スープと粘度の関係は非常に重要なのでもう少し深く説明すると、スープの粘度が高いと、スープが舌に乗った時に舌の上で長く留まることになります。
そうすることで、スープに含まれる旨味などの味成分が舌の上でより長く滞在されることになるので、旨味をより感じられるスープが出来上がる、ということ。
とはいえ、粘度をつけすぎると『重たい』というネガティブな印象に繋がってしまうので、適切な粘度を意識して、うまくコントロールしてみてください!

『乳化の理論』
白湯スープは乳化していることが、白湯スープの定義である、というくらい重要です!
そのため、乳化の理論を理解していると失敗なく白湯スープが作れます!

乳化とは、『水と油が溶け合った状態』のことを指します。
一番分かりやすいものだと、牛乳やマヨネーズがそれです。
でも、本来は水と油というのは分離するもので、溶け合わないもの。
しかし、『乳化剤』というものを加えることで水と油は溶け合うのです!
『水と油に乳化剤を加えて混ぜ合わせると乳化する』
これが乳化の理論です
白湯スープにおける乳化剤は、『ゼラチン』です!
そう、つまり先に紹介した『粘度系の食材』がスープを乳化させる上で非常に重要な役割を担っているのです!

粘度系の食材に強い火力を与えてゼラチンを抽出する
 
強い火力でスープを対流させる
 
スープ中の水分と油脂分がゼラチンによって乳化する


という流れになります。
粘度系の食材のコラーゲンは強い火力&長時間の加熱によってでなければゼラチンを抽出できないため、白湯スープは強い火力でガンガン炊き出していく必要があるのです!

さぁ、ここまで理論を理解できたらいよいよスープ作りを実践してみましょう!

【実践編】白湯スープの作り方
<材料>
豚ゲンコツ 1kg
豚足 1kg
モミジ(鶏脚) 1kg
鶏もも肉 2kg
水 30リットル

<作り方>
①ゲンコツをハンマーで2つに割る
②ガラ(豚ゲンコツ、豚足、モミジ)を十分な水に浸して血抜きをする
③②の水を捨てる
④とりたいスープの水量(5リットル)の水を加えて、完成時の水量を確認する
⑤寸胴の8割まで水を加える
⑥寸胴に蓋をして一番強い火力で煮込む
⑦沸騰し始めのアクをすくう
⑧アクをすくい続ける
⑨スープが完成したらザルで漉す
⑩スープを冷やして、タッパに小分けする
完成

ひとつひとつ詳しく解説していきます!
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まず、スープ材料のうちガラの下処理を行ないます!
左上から時計回り順に、豚足、ゲンコツ、モミジ。

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ゲンコツは骨の中にある骨髄から旨味と上質なゼラチン質が溶け出すので、必ず割リましょう!
100円均一で買ってきた小ぶりなハンマーでも割ることができますよ!

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ゲンコツ内部の骨髄。
これが完全に溶け出して空洞になるまでスープを煮込めたら完璧!

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より雑味がないスープを作るためには、ガラの血抜きをするとワンランク上のスープになります。
ガラを鍋に入れて、水に浸して最低でも1時間放置します。
そうすると、このように血が水に溶け出してくるので、そうしたら水を全て捨ててください。

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そして、オススメなのが鶏もも肉。
ブラジル産などの冷凍パックでしたら、800円/2kgというかなり高いコスパ!
もも肉からはたっぷり旨味が出ますよーーー!!

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そして、水を加える量ですが、オススメの方法があります!
スープ作りをしている時にいつも困る問題がありまして、それは、
『どこでスープ作りをストップさせるか?』
ということ!
例えば、『5リットルのスープをとりたい!』と思っていても、寸胴の内側に目盛りなどもないので、どこまでの水かさになった時に、自分がとりたいスープの水量になっているのかが判断できなくなってしまうのです・・・
その問題を解決する方法がこちら!
まず、とりたいスープの水量の水を計量して用意します。

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それを材料を加えた寸胴に入れまして・・・

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これで、『材料+とりたいスープの水量』になっているわけですので、この状態がおおよそのスープの完成水量になっています。
この時の状態を覚えておけば、おおよそのスープの火の止め時がわかります!
きっちりスープの水量を測りたい方はこの時に、定規を突き刺して水深を測ると良いでしょう!

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あとは、寸胴に蓋をして一番強い火力で煮込みます!
沸騰し始めにこのようなアクが浮いてくるので、全てすくって捨ててください!
ここで注意しなければいけないのが、
『沸騰し始めを注意深く見守り、沸騰し始めのアクをすくう』
ということです。
沸騰し始めのアクが出てから、そのままアクをすくわず沸騰させ続けると、対流が起き、浮いたアクが細かくなってスープ全体に拡散してしまい、臭みと雑味の強いスープになってしまいます!

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沸騰し始めのアクをすくってからも、しばらくアクが出続けるので、アクが出なくなるまで小まめにずっとアクをすくい続けます。
最初はこんな風に透明だったスープも・・・

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6〜8時間炊き続けると、このように白濁してきます!

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あとは完成水量になるまで丹念に煮込んでいきます。

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ゲンコツを取り出して、骨髄が溶け出し、内部が空洞になっていたら理想的です!
手間を惜しまない方は、途中でゲンコツを取り出し、割り箸などでゲンコツ内部の骨髄をグリグリ掻き出してやると、より効果的です!

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スープの味見をして、十分な濃さになっていることを確認したら、スープをザルで漉します。

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がっつり乳化した白湯スープが出来上がりました!

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レンゲですくっても、トロッとした粘度が感じられます。
お味はいかがでしょうか・・・
う・・・うまい!!
ポタージュを思わせるような粘度、だけどポタージュのような粗い粘度ではなくキメが細かく滑らかな口当たり。
そして、旨味が爆発!!
さすがに鶏もも肉をあれだけたくさん入れたら旨味は相当なもの。
このまま、塩気をつけたら濃厚白湯ラーメンとして相当美味しいものが出来上がりそうな旨味感です。

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透明なグラスに入れてみても、この乳化具合!
めちゃくちゃ濃いです!

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とったスープは小分けにして冷凍保存するのが一番!
ボウルやシンクに氷(もしくは水)を張り、寸胴ごと冷やしていきます。

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この時スープを撹拌すると冷めるのがグンと早くなります!

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しっかり冷えたら、小さい密閉タッパに移していきます。

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タッパに移す時は、スープの用途を想定して、色々なサイズのタッパに分けて置くと便利です!
僕は、左上から900ml(ラーメン2人前用)、右上400ml(つけ麺1人前用)、中央下3000ml(火鍋用)というように分けました。
あとはこれを冷凍保存しておいて、使いたい時に電子レンジで解凍すればいつでも最高の白湯スープが楽しめます!

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ちなみに・・・
このスープに魚粉などの節系を加えて加熱し、濃口醤油と少量の塩で塩味をつけるだけでつけ麺専門店レベルのつけ麺になりますよ!
なかなかスープ作りはハードルが高いですが、一度この味を味わうと病みつきになる美味しさがあるので、ぜひ試してみてください!


四川式汁なし担々麺専門店「タンタンタイガー」を2016年8月10日に蔵前にオープン!
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