調理科学

【調理科学】油そば=ぺペロンチーノ?

前回の記事、【調理科学】「麺カタ」オーダーは間違い?で多くのラーメン紳士・淑女を世に産み出したワケだが、今回は「油そば」という料理法について、どういう原理で成り立っているのかを解明したいと思う。

最近、結構な頻度で油そばを食べていて思ったのだが、「油そばはおいしい!!」ということだ!

しかし、油そばはラーメンやつけ麺と比べると、中華麺にとっては切っても切り離せないパートナーである「スープ」が存在しない。しかし、それでも油そばは麺の味、食感を充分に感じられるし、総合的な味としてもおいしく、料理としてしっかり成り立っている。

そして、都内には油そばやが数多く存在し、昼時に行列ができている光景をよく目にする。

なぜ、油そばはこんなにも日本人に愛されるのだ!?

Cooking Maniacの著者である東山としては、モリモリ興味が沸いてきて・・・

「よっしゃ!ココはいっちょ科学的視点で解剖してみますかぁっっ!」

という気分にさせられたワケでして、早速解説していきましょう!!イエァッ!!

さて、今回の検証を行なった上で、驚くべき事実を発見した・・・!!

明日の新聞の朝刊に載っちゃったらどうしよう!!!?

そ、その・・・驚くべき事実とは・・・!!

『油そば=ぺペロンチーノ』

ということなんです!!!本当なんです!!!!

色々考察と検証を重ねた結果、油そばは、ぺペロンチーノと同じ料理モデルだという結論に至った!

さてそれはなぜか?

【原材料】と【調理法】の点から説明していきましょう。



【原材料】

油そばを油そば足らしめる主な要素は、[麺(中華麺)・油(ブレンド油)・調味料(醤油タレ)]です。

具は、各店によって差がありすぎるので、一旦省いて考えます。

そして、ぺペロンチーノも[麺(パスタ)・油(オリーブオイル)・(調味料)塩&パスタの茹で汁]

と、主な構成要素が似ています。

そしてそれぞれの構成要素の比較をしていきましょう!

[麺]

油そば:中華麺

ぺペロンチーノ:パスタ

両方とも、「小麦粉 100%の麺」、という点で共通しており相違点としては、『中華麺はかんすいを使用する』という点ですかね。

かんすいによって麺の食感は大きく変わりますが、主成分がほぼ100%マッチしているというのは、やはり大きい。

[油]

油そば:独自ブレンドした油

ぺペロンチーノ:エクストラバージンオリーブオイル

これは似ている!かなり!

ちなみに「油」と「脂」の違いって知ってますか?

油:常温で液状の油脂のこと。主に植物油のことを指すことが多い。

脂:常温で固体の油脂のこと。主に動物性の油脂のことを指すことが多い。

というのが定義ですが、使い方としては[液状の油脂=油・固体の油脂=脂]って言っているケースが多い。

で、話を戻すと、油そばもぺペロンチーノも、調理時には液状である「油」を使っている

その点も大きなマッチングポイント。

[調味料]

油そば:醤油タレ

ぺペロンチーノ:塩&パスタの茹で汁

これも実は共通点が多く見つかる。

まず、醤油の主成分というのは[大豆、小麦、塩]です。

これは、発酵の力によって、大豆と小麦からグルタミン酸を抽出しようという調味料。

そして、イタリア料理のパスタレシピを見ていると、至るところで[パスタの茹で汁]を使えと書いてある。

それはなぜか?

前回の記事の応用で、前回記事「【調理科学】「麺カタ」オーダーは間違い?」で小麦粉には大量のグルタミン酸が含まれていることを説明した。

そして、パスタはデュラムセモリナ粉が主成分であり、デュラムセモリナ粉は強力粉に該当するので・・・

グルタミン酸量:4500(mg/100mg)

超多いっ!!なので、パスタの茹で汁は[グルタミン酸と塩の水溶液]と解釈すると、醤油とのマッチング度はかなり高い。

https://cookingmaniac.net/archives/25442824.html

この様に分解すると、油そばもぺペロンチーノも原材料としては・・・

[小麦粉100%の麺・液状の油・グルタミン酸と塩の水溶液]

と再解釈することができる。

【調理法】

調理法の視点で考えると、実は大きなマッチングポイントが見つけられる。

それは、[乳化]である。

ぺペロンチーノは、温めたオリーブオイルと、パスタの茹で汁をフライパンの中で熱しながらゆすり、油と茹で汁を乳化させてから、パスタに絡めることが超超超重要です!!

これによって、油を軽く感じさせ、パスタとの絡みも強めている。

この調理法の良くできているとこは、パスタの茹で汁を使うとこで、パスタの茹で汁というのは小麦のタンパク質が溶け出ていて、そのタンパク質が乳化安定剤となって、オリーブオイルとパスタの茹で汁を乳化させている。

この原理を知っていたのか、最初に考案した人は非凡の極みとしか言いようがない。

そして、油そばも同様に、油と醤油タレの中に麺を投入して、ひたすらかき混ぜる。

中華麺は、パスタに比べて表面が粗いので、かき混ぜている最中に小麦のタンパク質が溶け出して、醤油タレと油を乳化させている。

乳化しているから、油そばは油を多く使うのに口当たりが軽いのだ。

さて、分かりやすく比較検討してみよう。

ぺペロンチーノも、油そばも・・・

「液状の油と、グルタミン酸と塩の水溶液を、小麦のタンパク質を乳化安定剤として乳化させ、麺に絡ませる」

といった点でマッチングしているのだ。

しかも目的も一緒で、「乳化によって油の重い食味を軽くし、麺との絡みを良くする」

と、こんなに似ているのだ!

【総括】

つまり、油そばもぺペロンチーノも、それぞれ要素分解して比較検討すると、

「液状の油と、グルタミン酸と塩の水溶液を、小麦のタンパク質を乳化安定剤として乳化させ、小麦100%の麺に絡ませる料理」

なのだ。

日本のイタリア料理屋では、豪華な魚介や肉をふんだんに使用したトマトソースベースのパスタの脇に必ずぺペロンチーノがある。

それだけ、日本人は麺をシンプルに味わうことが好きなのだ。

その日本人が、極めてシンプルに中華麺を味わう油そばを好むのは当然なのかもしれない。