調理科学

一風堂はなぜうまいか?

突然だが、おれは博多ラーメンが大好きだ。愛している。

シャッキリ硬い細麺に、コラーゲンがたっぷり溶けた濃厚豚骨スープを絡ませて、一気呵成にズズゾォーーーーッ!ズズゾォーーーーッ!!と一心不乱に麺をすすり込む・・・

博多極細麺のボキボキした食感と、口中に充満する小麦の甘味、濃厚豚骨スープのねっとりコラーゲンが絡みつく感じ・・・

たまりませんなぁ!!!オイ!!!!

博多ラーメンといったら、一番繁盛しているのは「一風堂」でしょう。

なんと、日本だけで92店舗も展開しているモンスターチェーンなのだ!!

博多ラーメンとはかなり好き嫌いの別れるラーメンのジャンルだと思っている。

現に俺のまわりには、「博多ラーメンが好き」ってやつは1人しかいなくて、むしろ「博多ラーメンは苦手ぇ~」って人の方が多い。

皆さんのまわりでも同様ではないでしょうか?

そんな好き嫌いが別れる博多ラーメンというジャンルで、なぜ一風堂はこんなに人気を博しているのだろう?

そのあたりを解説していこう!!



4月にこの記事を書こうと思って2ヶ月・・・

一風堂に通い続けることで、一風堂の人気の秘訣には、3つの【ヤヴァイ!!】が隠されていることが分かった!!

一つずつ説明していこう!!

①もやしがヤヴァイ!!

もやしが超うまい!!ヤヴァイ!!!



これが一風堂のもやし。

もやしのナムルみたいな感じで調理されている。

しかも、なんとこの激ウマもやしナムルが無料なのだ!!

普通に居酒屋とか言ったら、小皿で280円位しそうなのにっっ!!

この太っ腹さはヤヴァイ!!

多分、[一風堂のもやしナムル]の味付けは・・・

◆もやし、白醤油、塩、化学調味料、ごま、ラー油、おろしにんにく、唐辛子

みたいな感じ。

でね、もやしのナムルっていうのは普通は水気を徹底的に絞るんですよ。それから色々な調味料と和えることで、味の染みこみを良くして、あの独特の食感を残しているんですね。

焼肉屋とかで食べるナムルが結構高いのは、もやしの水分量は実に95%なので、水気を絞ると量が激減するからなんですね。

しかし、一風堂のもやしナムルは違う!!

ほとんど水分を絞っていないのです!!

それによって、もやしのシャキシャキした食感と、野菜のフレッシュ感が残り、こってりとした豚骨ラーメンの口直しとして最適なパートナーになっているんですな!!

しかも、もやしの大部分を占める水分を絞らないことで、量が減らない!!

このテクニックはヤヴァイ!!

恐らく、[もやしナムル]という料理の完成度としてみた場合には、焼肉屋のじっくり水気を絞ったもやしナムルの方が高いでしょう。

しかし、[豚骨ラーメンとの相性][コストパフォーマンス]という点を考慮したときに一風堂のもやしナムルの大勝利ーーーーー!!!!となるわけです!!!

ヤヴァイ!!!!

②味の洗練がヤヴァイ!

まずは、一風堂の二大看板メニューを見てくれ。



白丸元味・・・一風堂の土台ともいえる商品で、ベーシックな豚骨ラーメン



赤丸新味・・・白丸にマー油(ニンニク焦がし油)、特製辛味噌、刻み玉ねぎなどを加え、パンチのある味に仕立て上げている



一風堂からか麺・・・白丸のスープ・麺に、特製の辛い肉味噌が乗っており、辛さも5段階から選べる

上記3商品がレギュラーメニューで、スープは全て共通。

このスープを一口すすると、実に洗練されていることが分かる!

イヤ・・・!!洗練がヤヴァイ!!のだ!!!

じゃあ「洗練」というのは、どういうことでしょうか?

それは、「臭み・雑味」がないことです。

なのに、しっかり濃厚である。

それが、一風堂のスープのヤヴァさなんですね!!

だからこそ、多くの人に愛されるラーメンなのでしょう。

さぁ!!どうヤヴァイか伝える前に、まずベーシックな博多ラーメンの豚骨スープの作り方をちょびっとオベンキョしましょう!

【(ヤヴァくない)博多豚骨ラーメンのスープの作り方】

◆材料

豚の頭、豚の背骨、ゲンコツ(豚の大腿骨)、豚足


◆作り方

上記材料を、超強火力でガンガンに煮込んで、ゴンゴン木の棒で潰しながら8時間以上煮込む

って感じなんですね!!

色々な豚骨の部位を煮込んでいくのにはそれぞれ目的があって、以下の4成分を抽出したいのだ。

[抽出したい成分] [使用部位]

コラーゲン・・・・豚の頭、ゲンコツ、豚足

旨味・・・・・・・豚の背骨、ゲンコツ

脂・・・・・・・・豚の頭、豚足

カルシウム・・・・豚の頭、豚の背骨、ゲンコツ(豚の大腿骨)

コラーゲンによって、ネットリとした粘度をスープに溶かし込む。

旨味は言わずもがな必須の要素。

脂によってコッテリとしたコクをだす。

そしてカルシウムに!!よって、カルシウムの味をスープに溶かしたい。

賢明なる皆様はこう思われたでしょう?

「おいおい、カルシウムにも味があるんかいな?」

あるんです!!むしろカルシウムの味は、博多ラーメンのおいしさを形作る上で重要な要素です!!

イメージしづらい人は、缶詰の鮭の中骨缶や、鯖の水に缶詰の骨を食べたときのホロホロッとしたあの感じを思い出してください。

↓ちなみに、このサイトはとカルシウムの味についての解説が分かりやすくオモシロかった。

【コラーゲン・旨味・脂・カルシウム】

この4つの成分をスープに溶かしきるために、ガンガンの強火力で、大きい木の棒で骨をゴンゴン砕き、骨が溶けるレベルまで煮込んでいく。

こうすれば、上記4つの成分はどんどん濃縮されていって、あの濃厚を超えた最強濃厚な豚骨スープが出来上がるってワケだってばよ!!

しかし、ここで問題が1つ!!!

この作り方の欠点として、上記4成分を濃縮する代わりに、他の余計な成分も濃縮してしまう。


「他の余計な成分」とは、【臭み】&【雑味】だ。

つまり豚骨エキスが濃縮されているラーメンであればあるほど、味も濃いが、臭み、雑味も濃いのだ。

だから、すごく濃厚な博多ラーメンの店の前で臭みを感じることがある。

そこで、一風堂!!ヤヴァイんです!!

一風堂の豚骨スープは、確かに超濃厚ではない。

しかし、十分に濃厚。コラーゲンや旨味がたっぷり溶けている。

のにも関わらず、臭み、雑味をほとんど感じない。

とてつもなく、洗練されているのだ。

「洗練」

簡単に言うケド、簡単じゃないばい。

洗練した豚骨スープを作るにはどうしたらいいか?

理論としては、臭み・雑味成分だけ取り除いて、スープを濃縮させていけばいい。

では、臭み・雑味成分だけ取り除くにはどうしたらいいのか?

以下2点の作業を行なう必要がある。

・豚骨の下処理をしっかりする

・アクをすくい続ける

しかし、これが本当に簡単じゃない。

[豚骨の下処理]

これには、段階ごとに5つの工程がある。

1)骨を水にさらして臭みの元となる血を抜く

2)骨の表面についた血合いや、汚れを磨いて取り除く

3)骨についている不要な肉を取り除く

4)骨を下茹でして臭み・雑味となる部分を取り除く

5)茹でた骨を流水・タワシで洗う

上記5工程の、1)すらやらない店から、3)くらいまではやる店など様々あり、5)までやるとほぼ完璧に臭み・雑味のないスープが取れる。

「なら5)までやればいいんじゃん?」

と思われるかもしれないが、言うは易し行なうは難し!!

過程で豚骨スープを作るくらいの量ならば、⑤までできるかもしれないが、店舗で1日40kg以上の豚骨を仕込むとかってなったときの1)~5)を行なうことの労力といったら、カイジの地下施設労働と同等レベルである。

一風堂の実際のオペレーションを見ているわけではないので、どこまでやっているかわ分からないが、かなり上位までやっていることが予想される。

[アクをすくい続ける]

豚骨というのは、煮るととにかく凄い量のアクが出る。

アクというのは、臭み・雑味といった味成分が熱変性したタンパク質によって凝固した物質です。

こいつはやっかいで、すくってもすくっても出続けるし、アクが出ているのにしばらくほっとくと、アクに含まれる臭み・雑味がスープに溶け込んでしまうんですね。

つまり、臭み・雑味をのないスープを作るためには、ずーーっと寸胴に張り付いていないといけないのです!!

寸胴の側ってアッツイんだよなぁーーーー!!

さぁ、聡慧なる皆様ならもうお分かりのハズ・・・・

洗練されたスープを作るためは、これだけの労力が必要なのです。

つまり、一風堂の洗練されたスープを作る、店員さんの労力がヤヴァイ!!!

③不均一性の取り入れ方がヤヴァイ!!

そして、最後の3つめ!

「はぁ?不均一性ってナニ?なんか難しいコト言ってごまかそうとしてない~?」

って言われそうですが、お願いだから落ち着いてください。

不均一性については以前書きましたが【“不均一性”を料理に取り入れる

今回の例に当てはめて、もう一回説明します。

ちなみに・・・

Q.「ラーメン」という料理の、食事としての弱点とは何だと思いますか?

それは、「均一性」がありすぎることです。

スープ、麺、チャーシュー、のり、メンマ、ネギ

どれもやわらかく、食感に乏しい!

しかも、ラーメンというのは原価のほとんどを麺とスープに使ってしまっているので、どうしても多彩な具を乗せれないのです。

それによって、やわらかい食感と、基本的には麺とスープの味が続くので、食感や味の変化が乏しいです。

つまり、食感と味が均一なのです。

例えば、これが「とんかつ定食」だったらどうでしょう?

まず、とんかつのサクッとジューシーな味→ご飯のやわらかい食感、キャベツのパリパリした食感とフレッシュな野菜の味→お味噌汁の汁気、味噌のコク・・・など食感も味も多彩で、不均一ですよね。

ということで、1回の食事には不均一性があった方が、最後まで飽きずに食べれます。

その点でラーメンは、スープに浸った麺をすすることが続くため、食べきる前に飽きがきてしまうことがあります。

しかし、そこで一風堂!!

もやし、高菜が無料!!

しかも・・・・ごはんがお替り自由!!

これにより、味のバリエーション、食感のバリエーションが無限になる!!

ラーメンをすすった後に、もやしを乗っけたご飯を食べ、スープを飲み、高菜を乗っけたご飯をかきこむ!!

ラーメン→ごはん→もやし→ごはん→スープ・・・・

組み合わせは無限大!!!

“味の無限ループ”である!!

この快楽感はヤヴァイ!!!!

しかも、麺の替え玉もできるため満腹感もヤヴァイ!!!!

快楽と満腹の無限ループじゃーーーーーーーー!!!!

ヤヴァイーーーーーーーーーー!!!!!!!

やぁめてくれぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!

ふうふう・・・

最後、チョット興奮し過ぎましたが、分かっていただけましたでしょうか?

つまりまとめると・・・

 

①もやしがヤヴァイ!!

 →「豚骨ラーメンとの相性」&「コストパフォーマンス」を徹底的に追求したもやしナムルがヤヴァイ!
 

②味の洗練さがヤヴァイ!

 →「臭み・雑味」を徹底的に取り除くための不断の努力がヤヴァイ!!


③不均一性の取り入れ方がヤヴァイ!!

 →無料のもやし、高菜、ライスお替り無料によって、味と食感のバリエーションが増えてヤヴァイ!!!

という3つのヤヴァイが一風堂のうまさの秘訣です!!!

ってことで、今日もまた一風堂の”味の無限ループ”に身を投じてきます~~!!