麻婆豆腐・・・
それは僕にとって特別な料理であります。
高校生の時に麻婆豆腐にハマりまくって、人何度も何度も作って、色々な文献を読んだりして勉強してきました。
約12年の研究の集大成として、過去にこんな記事を書いたこともあります。
これだけ情熱を注ぎ続けてきた料理・・・
『いつかは本場の麻婆豆腐を食べてみたい』
そう夢に願い続けてきましたが・・・
今回、夢叶って四川で本場の麻婆豆腐を食べてきました!
今回の記事では、
①四川で食べた麻婆豆腐の紹介
②そのうちの一つを再現して作ったレシピの紹介
をします!ぜひご覧あれ!

麻婆豆腐好きには必見の内容だと自負しております!
今回の四川訪問で3軒のお店で麻婆豆腐を食べてきました!
まずは、麻婆豆腐発祥の店。
『陳麻婆豆腐』へ行って参りました。
ここは、もう本当に夢見て憧れ続けたお店。
「やっと本場の本当にオリジナルの麻婆豆腐か食べられる・・・」
僕の胸は高鳴りまくり、興奮を抑えられえませんでした!
店内はお客さんでいっぱい。
どことなく、現地の人というより観光客が多い印象でした。
ちなみに、観光客というと東京では極当たり前のように見かけますが、四川ではほとんど見かけることができなかったので、陳麻婆豆腐はかなり特殊なお店だと思います。

小サイズ:12元(≒200円)
大サイズ:20元(≒330円)
日本の本格的な麻婆豆腐の価格から考えると信じられないくらい安いです!
5~6倍の価格差があります!
四川の小サイズは大概日本のレギュラーサイズくらいあるので、迷うことなく小サイズをオーダー!
来ましたーーーーー!!
これぞ夢にまで見た本物の麻婆豆腐です!
ビジュアル的には日本で食べられる四川麻婆豆腐とあまり変わりません。
豆腐は一切煮崩れることなく形を保っており、挽肉もたっぷり入ってますね。
他の特徴としては、葉ニンニクを細かく切ったものが入っている、花椒がたっぷりめにかけられているというところでしょうか。
すくってみると油もたっぷり。肉はかなりトロミがしっかりついており、かなり濃厚そうです!
それでは・・・!!
12年分の期待を込めて・・・・
いただきます!!!!
・・・・・
・・・・・・・・・・・・
しょっぱ過ぎる・・・
これは、恐るべき塩分の高さでした・・・
しょっぱいを通り越して、塩辛い。ご飯と一緒に食べても全く塩辛さが収まらないレベルです。
味の要素としては、旨味もしっかりあって、花椒の痺れ&辛味がうまく融合していて美味しい感じなのですが、それらのポジティブな要素を物凄い塩辛さが一切を吹き飛ばしてしまいます。
もしかしたら、たまたま間違ってしまったのかな?と思ったのですが、その後にオーダーした担々麺も同様に、恐ろしい塩分の高さでした・・・
うーーーん、これは非常に残念でした・・・
その後ガイドさんに聞いたところ、陳麻婆豆腐は昔はめちゃくちゃ美味しかったけど数年前からかなり味が落ちてしまい、地元の人はあまり行かないそうです。
ベースの味わいはとても美味しい感じがしたので、塩加減さえ丁度良くなれば美味しくなる気がします!また味が戻ってほしいものです。
続いてはコチラ。
伝統を重んじた、かなり正統派の四川料理を提供している名店です。
ここは何を食べても度肝を抜かれるくらい美味しかったですし、伝統的なレシピをひたすらに守り抜いているお店なのでとても勉強になりました。
こちらが伝統的な麻婆豆腐。
油分はかなり多め、豆腐は固め、葉ニンニクが入っています。
先ほどの陳麻婆豆腐といい、葉ニンニクが伝統的な麻婆豆腐には欠かせない要素のようです。
香りも花椒が全面に効いているというわけでもなく、ほのかに香る程度で、唐辛子を焦がしたような香ばしい香りがあります。
さてさて、お味はいかがでしょうか・・・・
!!!???
美味すぎるッッッッ!!!!
衝撃的です!
ここには完全なる麻婆豆腐の理想形の味がありました!
まずもって、豆腐が凄い!
なんとですね、豆腐自体がすごく香ばしいんですよ。
もはや”焦げ臭い”というレベルの香ばしさなんです。
イメージ的には、鍋をやった時とかに底が焦げてしまったときの独特に香りがあるじゃないですか?その香りが豆腐からするのです。
どうやらこの豆腐が伝統的な麻婆豆腐を作るうえで欠かせない要素らしく、これもまた伝統的な製法で作られた豆腐なんだそうです。
それに豆腐自体かなり硬めの食感で、日本の木綿豆腐と島豆腐の中間くらいにあたる硬さ。
そして、めっちゃ味が濃い!
この、香ばしさ&硬さ&味の濃さがあるから、ソースがこれだけ濃厚でも豆腐が負けずバランスが取れているんですね。
つまり、この伝統的な製法で作った豆腐ありきで、発想された料理が麻婆豆腐ってわけです。
ソースについて言及しますと、旨味の分厚さ&深さがすごい!
肉の旨味、豆鼓の旨味、豆板醤の旨味、そしてその旨味と複合して倍加させる深い辛み!
こんなに旨味の要素が複雑な麻婆豆腐は初めて食べました。
それもそのはず。
なんとこちらのお店、ほとんどの調味料を「手作り」にすることにこだわっていて、なんと豆鼓までもお店で仕込んでいるのです。(上写真は店で仕込んでいる豆鼓)
そうなると当然、麻婆豆腐の味の要となる豆板醤も店で仕込んでいて、そういったひとつひとつの大変な手間を加えることで、ここまで深い味わいを作り上げているわけです。
麻婆豆腐とはシンプルな料理ですが、「伝統的」ということにこだわり抜くと恐ろしく手間のかかる料理になることが分かりました。
豆腐を伝統的な製法で手作り+豆鼓を手作り+豆板醤を手作り
これだけでどれだけ大変なことか・・・
でもそれだけの手間が凝縮された凄い味でした。
麻婆豆腐好きの方は、一生のうちに一度は訪れてほしいお店です。

最後は、決して高級なレストランではなく、街の中にひっそり佇む、地元の人が日常利用するお店で食べた麻婆豆腐です。

計量しないのなんて当たり前、スープは使わない、スープ代わりにお湯を使用、お湯を入れ過ぎたため豆腐を煮込んでる途中でお湯を捨てる、豆腐を予め温めることとかもしない・・・
しかも作っている人も料理人という感じの人じゃなくて、Tシャツ姿でエプロンもつけず料理する若いお兄ちゃんでした。
という感じで、正直まったく期待していなかったのですが・・・
めっっちゃくちゃ美味い!
美味すぎて思わず笑いがこみ上げてきました。
旨味がしっかり濃くて、豆腐にもしっかり味が染みていて、あっさりした味わい。
四川麻婆豆腐というと花椒が欠かせないと思っていたのですが、こちらは入ってないです。
しかも、汁気もシャバシャバで片栗粉でトロミをつけていない。
色々な面で、日本人がもつ「四川の麻婆豆腐」のイメージとかけ離れています。
そして特徴的なのが辛さで、直線的な唐辛子の辛さがスカーーッ抜けて爽快!
それに肉がプリップリで噛むとジューシー、旨味が弾けるんですよ!
こちらは唐辛子の塩水漬『泡辣椒(パオラージャオ)』といいまして、大振りにカットされたこいつが凄くいい仕事をしているんですよ!
発酵食品由来の旨味、まろやかな塩味、奥深い辛味、フルーティな香り。
そしてまた、こいつも凄くいい仕事をしている!この麻婆豆腐のMVPと言えるでしょう。
こちらは『泡菜(パオツァイ)』といって、生姜を塩水に漬けた漬物なのですが、この大振りにカットされた泡菜を噛むとコリッとした食感と共に、生姜の香り、旨味が弾けるのです。
この泡菜のおかげで、麻婆豆腐を食べ進む中でとても良いリズムが生まれます。
『生姜の泡菜』については別記事にて書きましたので、良ければご参照ください♪
今回の訪問で3タイプの麻婆豆腐を食べましたが、ある意味最後の食堂の麻婆豆腐が一番心に響いたかもしれません。
紛れもない「四川の麻婆豆腐」であるし、何より日本では絶対に食べられない味で、想像すらできなかったタイプの麻婆豆腐なのです。
ということで・・・・
こちらの麻婆豆腐を完全再現しました!
そのレシピを紹介します!!
<材料>
※肉のハナマサの木綿豆腐が理想
※ヒレでも可。脂身の少なく柔らかい部位がベスト
※こちらの記事(中国・四川レポート③ 生姜泡菜の再現レシピ ~四川の漬物文化の奥深さ~)
で詳しい作り方を紹介しています!
⑫水気が豆腐の半分くらいになって自然なトロミが出てきたら皿にあける
<ポイント>
必ず肉は作る直前に叩いてミンチにします。
これが味の要。
めちゃくちゃ雑に料理をしていた四川の食堂でも、これだけはしっかりやっていました。
まな板に対して垂直に叩き、肉を90℃動かして、既に入れた切れ目と直角に交差するように再び叩くとうまくいきます。
これくらいの粗さでOK。
食感が残っていた方が美味しい。
肉粒同士が薄い筋でくっついているので、手でほぐしてやります。
泡辣椒は1cm幅くらいにカット。
これくらい大振りな方が存在感を楽しめて良い!
四川豆板醤(左)とピーシェン豆板醤(右)
四川の麻婆豆腐を作る時には断然ピーシェン豆板醤の方が良いのですが、この麻婆豆腐には四川豆板醤のほうが合います。
ので必ず四川豆板醤を使ってください!
試しにピーシェン豆板醤でも作ってみたのですが、あまり美味しくありませんでした。
事前に全ての食材&調味料を計量しておきましょう!
それにしてもシンプルな構成・・・こんなにシンプルなのに美味しいから凄い・・・
肉を入れた後、泡辣椒&生姜泡菜を加えて油になじませます。
この工程で、泡辣椒&生姜泡菜の旨味を活性化させ、肉に吸わせることが肝要。
豆鼓&豆板醤を入れたらこんな感じです。
油にしっかりなじませましょう。とはいえ火を入れ過ぎて焦がしてしまったら台無しなので、20~30秒ほどでOK。
豆腐を入れたらガンガン強火で煮込んでいきます。
この時にこまめに鍋をゆすって鍋底が焦げないようにしてやりましょう。
鍋をちゃんとゆすっていれば、おたまで混ぜるのはしなくてもOK。
水分が豆腐の高さの半分くらいになって、自然なトロミがでてきたらOK。
この時にソースの味見をして、薄いようであれば薄口醤油を足して調整。
こちらが完成品です!
どうです?かなり見た目的に似ていませんか?
真っ赤なソースに、泡辣椒や生姜泡菜がゴロゴロ入っているのが特徴的ですね!
いただきます!!
うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!
完璧です!!
再現度としては限りなく100%に近いです!
というか、ちゃんと計量もして丁寧に作った分、四川で食べたものより美味しくなっている気がします!笑
結構辛いですが、辛さがスカーーッと爽快に突き抜けて後に残らないので、どんどんレンゲが進んで止まりません!
そして、シャバシャバの汁ごとご飯にかけて食べるともう最高です!!
めっちゃくちゃ美味い!!!
それにしても、この生姜泡菜が本当にいい仕事してるんだよな~。
パンッと香りと旨味が弾けて、素晴らしいアクセントになっているんですよ。
これがないと成立しない料理です。わざわざ手作りした甲斐がありました。
いかがでしたか?
今回のレシピは、僕が2017年に作った色々なレシピの中でもBEST3に入るくらい美味しかったと自負しています。
麻婆豆腐好きの方には『こういう麻婆豆腐のアプローチがあったのか!!』という驚きを感じていただけるかと思います!
是非とも、お試しください!
↓↓中国・四川レポートシリーズ↓↓
・中国・四川レポート ~街の食堂から屋台まで、四川の食事情徹底紹介~
・中国・四川レポート② 担担麺の定義とは?~四川に行って徹底的に調べてきた~
・中国・四川レポート③ 生姜泡菜の再現レシピ ~四川の漬物文化の奥深さ~